逍遥録 -衒学城奇譚- -5ページ目

新田次郎著 『孤高の人』

昭和初期、日本アルプスの山々をひとりで踏破した男。

“単独行の加藤文太郎”

他者とまじわれない強烈な個性と、独自の価値観を持ち、こと登山に関しては天才的な発想でもって、冬山を踏破していく。

彼は山と、生涯単独行の盟約を結んだのだった。

しかし家庭を持ち、山行を捨てようとし、初めて友人とパァティを組んだ時、ついに帰らぬヒトとなった。


* * *


物語中、たびたび問われるのは“孤”です。

ソレは常にどこにでも存在し、決して分かちがたい存在です。

立場がどうこうじゃなくって、意識の問題。

仮にハナシをしても、ヒトの中にいても、彼はどうしてもまじわるコトができない。

コレは彼にどこか欠陥があるとか、周囲が彼を拒んだとかじゃなくって、結局自分の中心に“自分”が存在してるってコトを、心底カンジとっていたからじゃないかなと思います。

なんかさ、まじわりを求められるってコトは、そちら側に同化するコトを強要されてるような気がすんだよね。

もちろん意識的じゃないだろうし、ソレが世の中のつきあいってもんだろうけどさ。

求められても、還せないんだよね。


でもひとりでいるってコトは、カッコよいコトじゃないし、楽じゃない。

常に自分が自分の主だし、その責任は重い。

普通ならきっと、その重さには耐えることができないのだと思います。

逆に云えば、ソレに耐えるコトができるモノだけが、ホントに“孤高”を抱いて生きていけるのかなぁと……思う。


自分もそうとうヒトとはまじわれない性分……だと思うし、どっかのアホ上司(もどき)にそんなコトも云われた。

社交的じゃない。

だからわかる、わかるような気がするってだけだけど。

ハナシをすればするほど、関係を持とうとすればするほど、あぁ自分は重なりあえないなぁ……て、ソレでほっとするワケよ。

ただ現実としては居心地はよくない……だから、できる限りはヒトとまじわった方がいいよって……何云ってんだ、自分。


結局……文太郎は山で死ぬ。

山との盟約を破り、見捨ててはいられない後輩の助力となるために、自分の主であるコトを放棄して、吹雪の北鎌尾根に分け入って。

山は彼を見捨てたのでしょうか?

しかし彼は、最後の瞬間、家族の元へ無事帰還しました。

こんなに疲れたコトはないと云って、ようやくゆっくり眠れる我が家に帰ってきたと云って。


* * *


評価:★★★★★


こういう骨太の小説は、読んでて力が入る。

おそらくぱっと見るとこれは登山小説のように思えますが、ボクには山を媒体にした人間の根源の奥深い部分に分け入った物語にカンジられます。

現在「週刊ヤングジャンプ」で、同名の漫画で連載中。

作画は坂本眞一だったっけ。

舞台を現代に持ってきて。

島崎藤村著 『破戒』

明治後期、部落出身の瀬川丑松は、身分をいつわって教員をしていた。

父の厳しい教えを護り、彼を白眼視する校長たちの疑いの眼をかわしつつ、決して身分を明かそうとはしませんでしたが、ココロの中では常に激しい葛藤がありました。

しかしある日、解放運動家猪子蓮太郎の死に衝撃を受け、ついに父の戒めを破ってしまいます。


* * *


ボクは仕事柄、こういった問題について耳にするコトが、わりかし多いほうじゃないかなと思う。

もちろん現代のソレだから、相当に希釈されて現在のボクらには良識と世間体のフィルタがかけられてるから、おそらくボクらが今カンジてるモノと、かなりの隔たりがあるのでしょう。

だから同質として語るコトはね、きっとできない。


しかしこういった問題で、やはり何が怖い、あるいは残酷かってぇと、ボクは善意やらよいヒトであろうって気持ちのような気がする。

物語中、友人が丑松が部落出身ってウワサを聞いても笑い飛ばすワケ。

でもソレはくだらん差別だってワケじゃありません。

「彼がそんな身分のワケないじゃないか」ってコトで。「あいつらは見たらイッパツでわかるだろ、瀬川はそんな風に見えないじゃないか……」

もちろん彼は丑松にそんなウワサがあったから、彼を擁護するために云ったものですが、もうすでにソコにはぬぐいがたい意識があって、自分のその概念にあてはまらないから、丑松は“シロ”だって云っただけなんですよね。

ホントにヒトのココロを傷つけるのは、こういた善意に隠れたよどみなんじゃないかと思うのです。


現代だってそう。

親がコドモのコトを想って、身元調査したり結婚に反対する。

「自分は差別はよくないって思うが……」を枕詞に、善人のふり、良識人の顔をして他人を平然と踏みにじる。

剥きだしの悪意の方が、まだつまみどころがあって、得体がしれている。


* * *


評価:★★★★☆


部落差別を題材にとった小説の白眉です。

最初に読んだのは中学のころだったか……

そのころはよく意味がわかんなかったが、再読してみるとはっきりとカンジるコトができました。


しかし最期のツメでやはり突き放しきれずに、甘さがのこるカンジ。

う~ん……そんな風に偉そうに評価する類のハナシじゃないんだけどねぇ……

伊藤博文?安重根に暗殺されてなかったら、名前も知らなかったろう?

安重根の遺骨を発掘するために、韓国政府は日本に対して資料の提供などの協力を要請……つーにゅうす


* * *


いや~しかし、やほ~のコメント欄では、一部日本人の火病的罵詈雑言の嵐でしたわ。

安重根をバカにし、安重根をテロリストと非難し、彼を英雄しする韓国人をバカにし、そんな要請は足蹴にしろ、いや売国奴政権(笑)ミンスならば聞き入れるぞ……と得意満面。

コイツらアホばっか。

大爆笑。

韓国人のコトなんぞ、とやかく云えない。

日本の恥である。


安重根とは、ご存知のように、かつて韓国併合前に伊藤博文を暗殺して処刑された、韓国では抗日の英雄のように扱われている人物です。

無論日本にとっては、首相を暗殺した、云ってみりゃテロリストじゃああります。

しかし、安重根のやったコトは確かにテロかもしれないが、彼の行為は日韓の歴史に影響を与えたのも事実です。


大体、伊藤博文が暗殺されたのが、まるで去年か一昨年ぐらいの勢いで、くっちゃべっちゃあおるが、もう100年前のハナシではないか。

いつまでも、殺した殺されたって、どこまで執念深いんじゃ?

とっくに歴史ですよ。

その歴史上の人物の骨を探したいと云うのだ。

安重根や韓国人がキライでたまらなかろうが、自国の歴史に名をのこした人物の調査に協力するのとはハナシが別だろうがよ。

もちろん調査費用を出せとか云うのなら筋違いだが、資料を提供するぐらいの協力が、どれほどだってのか?

ま、韓国も安重根を「抗日の英雄!」てなカンジで持ち上げるのもそろそろやめにして、冷静に歴史を見つめなおした方がよいのだが……コレははっきり云ってお互い様。


歴史というもの、その登場人物は、立場によって評価はまったく異なります。

ある人物が自国では英雄視されていても、他国からみたらただの侵略者ってコトもある。

戦争で開発された新型兵器が、ある国では戦争を早期に終わらせる効率的な兵器であっても、使われた側にとっては人道にもとる悪魔の所業であるコトもある。

そして何より、歴史には“暗”の部分が必ずあります。

それを正視せずに、歴史の深奥や多様性をとらえるコトはできません。

そーゆコトを踏まえて、歴史は解明されていくのです。

自分たちが正しいとか、あいつらはどうこうされて当然とか、そんな簡単で薄っぺらな主観で語れるほど、人間の営みは生半可ではありません。


韓国が安重根に過度のナショナリズムを投影するのは滑稽かつ狭隘ですが、それを足蹴にして踏みにじろうとする一部の日本人の傲慢さもまた醜悪です。


挙句の果てには「そんなヤツの骨なら便所で探せ」だの「犬の骨でも渡せ」だの、ちょっとヒトとして正気を疑うコメントの数々。

ソレが日本人として誇るコトができる言動か?

結局は“劣等民族チョーセンジン”が、身の程もわきまえず“優秀な日本人サマ”を殺害したのが気に入らないってだけじゃないのか?

つーか、お前らそんなに伊藤博文好きか?

どうせ安重根に暗殺されてなかったら、名前も知らなかったろう?


他国のコトをとやかく云う前に、自分たちをどうにかせぇよ。

このコメント欄見たら、集団発狂かと思ったじゃないか。

つくづく日本の恥だよ。

いや~特撮とかアニメとかは、しょせんコドモが観るモノだよ、コドモが

例によって、朝の早よからすっぱ~ひーろーたい~むのお付き合いをさせられて、疲れた君の発掘屋さんです。

3月のこの時期はやめて、いやホント、寝させて……


……

……

……


寝させてくんない……


しかたないので、日曜朝のテレビのハナシでもしようかと思います。

まず、ええと……とにかく早い時間にあるポケモンやらバトルスピリッツやら……

ボクは基本的に、カァドやらモンスタに闘わせて自分が血も流さない卑怯くさいハナシが大嫌いなので、小十郎が観ようとしても、絶対観せない。

オトナになってから、自分で観たけりゃ観なさい。

かわりに『夢色パティシエール』でも観てなさい。


さて、その後の『侍戦隊シンケンジャー』が終わって、新番組の『天装戦隊ゴセイジャー』ですが、コレがどーにもイマイチなんですよね。

今度の正義のひーろーたちは天使って役どころらしいのですが、なんかコンセプトがピンボケしているカンジ。

特に戦隊のリィダたるゴセイレッド役の子がですね、何つーか……ホント幼いカンジで、背も小さくて、声も弱々しくって、どーにも頼りない。

今すぐ男塾にでも叩きこんで、性根を鍛えなおしてもらいたいようなオトコノコだ。

ボクならとてもこんな子に、人類の存亡をたくそうって気にはならん。

しかしまぁ、はじまったばかしだし、多少は大目にみてやることにしよう……(結局観るのか)


『仮面ライダーW』は、相変わらずオトコとオトコがひとつになるハナシ。

それだけではなく、最近はもひとりオトコ(刑事)が登場して、物語は三角関係に……ッ!?

……てハナシ……だったっけ?

しかも今回は刑事の仇(ウェザー)が出現します。

闘いを挑むのだが、まるで歯が立たず、ボロボロにされて四つんばいで悔し涙を流す刑事。

抵抗できなくなったオトコへ、舌なめずりしつつネクタイをゆるめ(心象的に)、ゆっくりとウェザーが近づき、さらなる陵辱を加えようとしたその時――「そのオトコに手を出すなッ!」とたぎりにたぎり、硬度をましたWの竿が、掌の中で熱い灼熱の炎をあげるのだった……

(つづけ!)


最期は『ハートキャッチ・プリキュア』です。

ココまできたらもうアホと云う他はないが、コドモが観るので、やむをえずに観ているのである。

ボクが観たいワケではない(キッパリ!)。

つーワケでプリキュアであるが、もう何作目かいな?

しかもここ数作は、ダンスとかファッションとか、絶対何か間違ってる方角へGOしつつあるプリキュアである。

大丈夫かいな?……と一抹の不安がないでもないが、とりあえずコレだけは云っておきたいと思った。


……


『ハートキャッチ・プリキュア』の変身シィンは、歴代プリキュアの中で、群をぬいて最高にかーいー!


……

……

……


ちなみに発掘屋サンは、そろそろ厄入りの声がちらほらと聞こえてくる、ステキなナイスミドルである。

鳩山邦夫元総務相の離党

支持する。

いや、別にイヤミでも皮肉でもないさ。

しかたないと思うのだ。

健全な国政には、いつだってちゃんとした野党が必要だ。

批判勢力の弱い組織や国は、いつだって弱い。

だから責任感のある、きちんとした野党が必要なのだ。

でも今の自公には、その資格も力もない。

あの体たらくだ。

まったく期待できない。

だから、彼にはぜひ強力な野党として、国の政治の場で、しっかりと務めをはたしてもらいたいと思う。

こーゆーのに、ミギもヒダリもない。

根っこは同じ。

鳩山内閣支持率の低下は健全な感覚

鳩山内閣の支持率が、ここんトコ激落ちらしい。


んで思ったんですが、日本人の感覚ってやはり健全なんだなぁ…って。


元々70%なんて高い支持率の方が不自然なんです。

かつての55年体制(擬似二大政党体制)下じゃああるまいし、今はもはや政党がその存在で庶民の指示を得るワケじゃありません。

かつての自公政権下でそうであったように、現在の支持率程度が大体のトコロじゃないかと思います。

実際、不支持にまわったヒトたちが、じゃあ受け皿として自公へ移るかといったら、そうでもない。

ま、それにしてもある意味、日本人はよく世の中を見ている。


政権交代をはたして6ヶ月ですが、その間鳩山政権の評価は、お世辞にもボクら庶民の期待にそうものではありませんでした。

部分的には前の与党よりはるかに改善された、改善されるであろう部分は多い。

ですがやはりダメな点、期待はずれな点も多い。

特に沖縄の米軍基地の移転に関しては、軽率の上に軽挙を重ねつづけているようです。

その迷走劇は、庶民の眼に決断力のない内閣だと思われてしかたありません。

その他官僚主導の政治の打破などの、選挙前に宣言していた公約の多くは、いまだ道筋が見えていませんし、外国人参政権のように疑問が大きい政策の推進もクビをひねるトコロです。

連立を組んでいる社民党や国民新党は、原則論にこだわるあまり、ムダな議論や政治的アッピィルを繰り返し、その姿も首相の指導力のなさとなって映ります。
何より政治と金の問題は、その不透明さが期待した多くの者たちに不信感をあたえているようです。


その結果が鳩山内閣の支持率の低下でしょう。

実に健全な感覚だと思います。

何があろうと無批判で、自分の支持してるモノに無条件で賛同しちまうよりは、ずっとよい。

狂信的じゃなくって、バランス感覚に長けてて、期待はずれだったらさっと不支持に転向する。

軽薄に流されがちですが、まあまあ理知的で敏感だと思うよ。


庶民は鳩山内閣に警告を与えているのです。

君らの政策はバッドだぜって。

問題は、鳩山内閣がその警告を受け止めるコトができるかどうかです。

かつての自公与党はできませんでした。

その為に凋落した。

今は日本の社会の、実に混沌とした転換点だと思います。

それを乗り越えるための舵取り役を、自公ではダメだと先の選挙で庶民は判断したのです。

だから鳩山政権に託された。

ダメだったからと云って、あの自公の時代にもどるのは勘弁だ。

何の理念もなく、日本をダメにして、ただただ与党であるコトのみに恋々としたみっともない政権に。

今また警告が出されている。

その警告を受け止めるコトができなかった時、日本はさらに底のない泥沼に落ちていくでしょう。

民主党がではない、日本が――です。


だから鳩山内閣、民主党は庶民の声を聞いてもらいたい。

かつて国民の多くが、彼らの何に期待して支持したのか?
何を求めているのか、何を期待しているのか?

もっともっと、耳をすまして謙虚になって。

アンドレ・ジッド著 『狭き門』

少年ジェロームは歳上の従姉妹アリサと、深く繋がりあう恋をしますが、しかしなぜかアリサは彼と幸せを共有することを拒みつづけます。

幾度となくジェロームはアリサを求めますが、ついに絶望的な別れに直面します。

やがて彼女の妹からアリサの病死が報され、生前つけていた日記が届けられます。

その日記には、ジェロームへの想いを切々と吐露しつつも、彼を拒絶しようとする矛盾の苦悩が激しく書き綴られていたのでした。


* * *


もうほとんど全編、ジェロームが延々とアリサへの想いを語る物語。

彼女への想いは、世俗的なものとは一線を画していますけど、感応しつつもなぜかそれを受け入れるコトをしないアリサ。


う~ん……読みそこなったのかもしれないけど、どうしてもアリサがジェロームを拒む理由がわからない。

いやまぁ、大体読み解けるけどさ、やはりギリギリのトコロで理解できない。

つーかアリサは自分の信念に生きるコトができたけどさ、ジェロームはどうなるのさ。

アリサを失って、その後も結局誰愛するコトができなくなってしまう。


読むかぎり、アリサもまたジェロームに対して深い愛情を持っています。

にも関わらず、彼を拒む。

ある時は妹がジェロームを愛しているコトを盾に、ある時は父の生活を盾に。

なぜだろう?

克己か?自己犠牲か?美徳か?

何を尊び、彼を拒んでいるのだろうか……?

しかし彼女は、そのコトに何も喜びを見出してはいません。

ただ束縛するだけです。

彼女は確かにジェロームを愛していた。

けれど彼女が共に歩みたいと切望していた路は、2人には狭すぎると苦悩するのです。

しかしそれは歩むべき路が狭いのではないと思います。

彼女の信じるモノが、彼女の路を狭くしたのです。

くぐりたいと願った門を狭くしたのです。

それがおそらく、彼女の不幸であって、ジェロームを受け入れるコトができなかったコトが不幸なのではないと思うのです。


* * *


評価:★★★★★


それでも傑作。

すばらしい。

ある意味、悲恋ではあるが、美しい。

ディック・フランシス死去

ここんトコ、有名作家の死去がつづいていますね。

こないだは競馬小説の大家ディック・フランシスが亡くなったそうです。

英国出身で、自身も旗手として名高く、エリザベス王太后の専属騎手もつとめたそうです。

引退後に小説を発表し、競馬小説、ことにミステリを数多く世に出しております。

ウチの本棚にも5冊ばかりありました。

合掌。

侍戦隊シンケンジャー

日曜の朝を、華麗かつ歳がいもなくいろどる戦隊モノの話題を……などと考え、及川奈央主演……(確かそうだったような……)『炎神戦隊ゴーオンジャー』の後番組『侍戦隊シンケンジャー』のコトでも書こうと思っていたら、いつの間にか一年経過してしまって、すでに先週、最終回だった。

コレはイカンと反省し、感想など書こうと考えているうちに、一週間がすぎてしまい、明日にはもう新番組がはじまる勢いなのである。

……なぜ流れに乗れない、自分……とゆー根源的な問題はとりあえずコッチ置いといて、とりあえずシンケンジャーのおハナシ。


* * *


人間の世界を脅かしてきた外道衆と、文字の力“モヂカラ”を使って、代々闘いつづけてきた志葉家。

その18代目当主丈瑠(タケル)の下に集った4人の侍&鮨屋(ヲイ!)。

刀と折神と呼ばれるロボットを合体させて、外道衆と闘う。

……のですが、まぁとにかく、途中経過はスッ飛ばして最終回付近のハナシをしますと……

当初は「外道衆を倒すのは自分ひとりで充分!」などと強がっていた(ムッツリ根暗ツンデレ体質)レッド丈瑠が、(忠義一辺倒生まじめ、ヘタすりゃ空回り)ブルー流ノ介、(姐さん体質保護者気質)ピンク茉子、(サムライなんて今さらなんだよ的現代っ子)グリーン千明、(ウチ、直球しか投げれません)イエローことは、(幼なじみ丈瑠への想い(邪推禁)でなぜ変身できる?おちゃらけ)ゴールド源太、そして(頑固一徹、殿様萌え)家老彦馬たちを従えての闘いの中、少しずつ心を通わせるようになってきたのですが……

ある日突然、志葉家の本当の当主を名乗る姫が登場します。

実は丈瑠は、外道衆との闘いで疲弊した先代志葉家により、未来に可能性をたくすために落ち延びさせた当主の子の影武者として育てられたのです(モヂカラは血筋なのか?しかし丈瑠や源太は……?)

そう云えば、回想シィンに確かに矛盾があったよな。

今まで仕えてきた丈瑠の大きなウソと責任感とに、板ばさみとなるものの気丈な薫姫とともに闘うサムライたち。

そして彼らをだましてきたコトに引け目を感じつづけて、正体がバレた今、静かに戦線から退いた丈瑠。

自分は空っぽだ……と虚ろな丈瑠の前に現れ、闘いを挑む宿敵十臓。

十臓との闘いに駆けつけた仲間たちとの間に絆を再確認した丈瑠ですが、薫姫は敵の首領のドウコクとの闘いに破れてしまいます。

切り札を失った薫姫は丈瑠を自分の養子とし(丈瑠、歳上)、志葉家の“19代目”当主となった丈瑠は、多くの者たちの想いを背負い“封印の文字”を手にして再び戦場に立つのです。

人の世を護りきれるのか、シンケンジャー!?


* * *


はい、やはりすでに最終回をむかえたあらすじを書くのは、いささかムリがありますね。

護りきれるのかも何も、もう護られてるワケですし。

ですがまぁ、感想としては、数ある戦隊モノの中で、ここ数年ではおそらく最高傑作ではないだろうかと思います。

敵役の真剣度がまるで感じられなかった前作(ただしケガレシア様をはじめ、のけぞりたくなるほどくだらない敵には脱帽)にくらべると、今作の敵はシンプルですごみがあり、闘いに緊迫感がありました。

ドウコク、めっちゃ強ぇし。

サムライたちもレッド殿とその他家来5名との間に厳格な上下関係があり、これまでにない演出。

彼らは代々志葉家に従って闘いつづけてきましたが、丈瑠の代になり再び召集されたワケ(源太は押しかけ)。

だからみんなそれぞれの生活があり、流ノ介は歌舞伎役者、茉子は保母になる夢をすてて駆けつけた(そんでもって志葉家で黒子に囲まれた集団生活。わははは)。

本当の当主として隠れてモヂカラをみがいてきた薫にも、葛藤があったワケですし、敵役の外道衆にもそれぞれドラマがきちんとあってソレが消化されている。

当初はぎこちなかった彼ら主従も、殿と家臣との垣根をこえて徐々に絆を深めサムライとして成長していき、ついに外道衆を倒すワケです。

そしてラスト、闘いの終わった彼らは筆頭格の流ノ介が別れの舞を披露する中、ひとり、またひとりと別れの言葉を丈瑠にかけて志葉家を去っていくのです。

敵を倒してハイ終わり、めでたくずっと仲良く楽しく暮らしました……ではないのだ。

当然別離が待っている。

涙なしには観られません。

う~ん、名場面。


んでもって見所は……

つ~か1年分だし、今さらではあるが、キャストがよいのですよね。

静的気質の珍しいレッドの難役をこなした松坂君をはじめ、それぞれの役柄に合ってますよ。

特に流ノ介役の相葉君(知り合いのママが激プッシュしてた)や、家老彦馬役の伊吹吾郎さん(!)、十臓役の唐橋さん(実に艶かしい外道に堕ちた剣士役だった……)は実にうまかった。

また、ことは役の現役アイドル森田涼花さん(コレに「す~ちゃんは腹筋が割れている」とか加えておくと、検索からの訪問が増えるらしい?)、や千明役の鈴木君、茉子役の高梨さん、源太役の相馬君、それにほんの一時ですが、歴代戦隊モノで初の女性レッド役をこなした薫役の夏居さん(14歳!?)は、これからの活躍が楽しみです。

(今回の記事、いつになくオタクくさくなってるのはなぜ……?)


サムライがモティイフなワケで、これまでにない“和”の意匠がとりいれられ、特に笑えるのがマスク。

この戦隊、顔が漢字になってまして、レッドが「火」、ブルーが「水」、ピンクが「天」、グリーンが「木」、イエローが「土」と、初めて観た者にビミョー感を与えておりますが、何となく『忍者キャプター』とカブるように感じるのは、ボクだけでしょうか?

しかし侮るなかれ、小十郎はこの番組でこの漢字を書けるようになったのですから(平仮名もまだのくせ……)。


何にせよ、近年まれにみる傑作ではなかったろうかと思います。

かっちょえかった。

同時期の『仮面ライダーディケィド』が内容のスケェルの壮大さに、キャストや脚本がついていけなかったり、『仮面ライダーW』がオトコふたりの“合体”による変身と、まるで“ツッこんで”くれ!(イロイロな意味で)と云わんばかりの設定であるコトからも、非常に安定した内容だったのでは……と思いつつ、今夜はココまで。


……でもって明日は早朝から『天装戦隊ゴセイジャー』です、あ~ヤレヤレ……

ポニョ

『崖の上のポニョ』、テレビ放送で観たよ。

うん、わりかしおもしろかったよ。

絵もまさしく絵本のようだったし、全体がやわらかい感覚ですね。

今のアニメってさ、画面に奥行きがあるようなカンジだけど、この映画に関しては、画面全体がぐっと中心によってるカンジ、そうまさに紙芝居みたいな印象。


個人的にはフジモトが好きだね。

ポニョからは悪い魔法使いなんて呼ばれてましたけど、決して悪人じゃなくって、そこそこ勝手でそこそこ思いやりがあって、何かに傷ついて自分の道を選んで、すごい力を手には入れたけど、どこか間がぬけていて、そんでもってイロイロなコトを心配して、いつだって地団駄ふんで、情けなくも不貞腐れて生きてるような……

そんな人間やってくコトに失敗した、コレ以上ないくらいにどうしようもなく人間のような魔法使い。


内容は、う~ん……最期のポニョが人間になるには……って試練の部分が、何か中途半端でさ、あんなもんでよいのかって思いましたけどね。

それでも、やはり安心して観るコトができますね。

初めてだったけん「へ~こんなハナシやったんやね~」と素直に観れました。


しかしさぁ、はじまる前、8時から何やら特番で製作のハナシやってましたけどさ、アレってさどうにかなんないの?

あんなつまらん特番、1時間も流すぐらいなら、8時から本編はじめてくれよ。

コドモは楽しみにしてるのよ。

小十郎の幼稚園でも、今夜ポニョがあるってウワサでもちきりだったらしいのです。

なのに何だよ。

9時からなんて、コドモ寝ちゃうよ。

小十郎だって必死でおきてて、終わった途端布団にたおれこんだぐらいです。

特番の間中、早くはじまらんかなぁ、こんなの観たくないって怒ってました。

一体、誰に観せるための番組だよ。

そーゆーコトがすんごく苛立つ。