サリンジャー死去
いやまぁここんトコ、毎度々々訃報の記事ばかりで申し訳ないのですが、今度はとうとうサリンジャーまでもが死去したとのコトです。
云うまでもなく『ライ麦畑でとっつかまえて』の作者ですが、もう90歳をすぎていたんですね。
ビックリです。
う~ん……しかし何かよからぬコトでもおこらねばよいが……
作家が次々死ぬ世の中ってさ、何となく何か悪いコトがおこりそうなのさ。
北森鴻死去
北森鴻さん48歳(きたもり・こう<本名・新道研治=しんどう・けんじ>ミステリー作家)25日、心不全のため死去。葬儀は26日午前11時、山口県宇部市中野開作403のやすらぎ会館。喪主は父利夫(としお)さん。
山口市在住。95年「狂乱廿四孝」で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。99年「花の下にて春死なむ」で日本推理作家協会賞を受賞。
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ちらと記事の表題を見た時は、眼を疑ったよ。
ほなコツね……と思う。
48歳、たったの48歳。
95年に鮎川哲也賞でデビュしたのなら、活躍した期間はおよそ15年だ。
あまりに早すぎる。
ロバート・B・パーカー死去
「スペンサー」シリーズ パーカー氏死去 最後の“職人”作家 遺作刊行はまだ先に
私立探偵「スペンサー」シリーズで知られる米作家、ロバート・B・パーカー氏の突然の訃報(ふほう)に、延べ400万部もの作品を翻訳刊行してきた早川書房(東京都千代田区)では驚きが広がった。2月上旬に新作『訣別の海』が発表されるほか、翻訳中の作品も多数。ファンが“遺作”を手にするのはまだ先のことになりそうだ。
77歳で死去したパーカー氏は多作で知られ、2月に『訣別の海』、3月に『勇気の季節』を刊行予定。ボストンの私立探偵スペンサーを主人公にした人気の「スペンサー」シリーズ(既刊37作)は、今年暮れに刊行予定の38作目が、すでに米国で作品が完成しているという。
海外ミステリーを担当する同社編集部、川村均さん(50)によると、米国の人気作家が1~2年に1冊のペースで新作発表する中、パーカー氏は必ず年3点は刊行。「どうかすると翻訳が追い付かないほど。にもかかわらずクオリティー(質)は高く、職人らしいことに長さもほとんど同じでした」
量産する作家はチームで分業するケースが日米ともに多いが、パーカー氏は独りタイプライターに向かって書くタイプで「4年前に亡くなったエド・マクベインとともに、最後の職人作家だった」と言う。
現在、書店向けに追悼フェアの文庫セットを準備中。一方、未翻訳の作品の調査も引き続き行っている。パーカー氏の職人仕事のおかげで、ファンが“遺作”を読めるにはもう少し時間がかかりそうだ。
1月21日13時28分
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ロバート・B・パーカーが死んだとは……
後半はスペンサーが無敵化しすぎてしまって、緊張感がなくなっちゃったので、あまり読むコトはなかったけど、初期の作品はすごかった!
強いってコトが、ただ単にバイオレンスって意味じゃないってコトを表現した主人公像でした。
まさにハァドボイルドのひとつの極北と云えるでしょう。
好きとか何とかじゃなくって、偉大な職人で作家だったと思います。
読まなくても、いつまでも元気でいてもらいたかった。
ちょっと今、書庫まで行く余裕ないから、コレぐらいしか書けないけど、パーカーのコトはまたゆっくり書いてみたいなぁ……と思います。
多分できないけど。
謹んでご冥福をお祈りしたい……ん?西洋人でも冥福でよいのだろうか?
とにかく、合掌。
残念きまわりない。
ダブルボケ、ダブルツッコミ
【こないだまで】
ミンス君:「ジコー君!お金のコトで政治家は清廉でなければいけないヨ!秘書の責任は政治家の責任だ。即刻辞任したたまえ!」
ジコー君:「そのコトについては秘書がやったコトですので、カンケーありまへん。今後の調査ではっきりすると思います」
ミンス君:「国民のみなさまにきちんと説明しろ!」
ジコー君:「説明してるじゃないか」
ミンス君:「いやしてない!」
ジコー君:「してるって」
ミンス君:「してないよ」
ジコー君「してるったら、してるだろ」
キョーサントー君:「ジコー君の金権体質だ!国民に説明して、辞任すべきだ!」
ミンス君・ジコー君:「君、ちょっと黙ってて」
メディア:「セツメーセキニン!セツメーセキニン!」(大合唱しながら)
【今】
ジコー君:「ミンス君は何て悪いヤツなんだ!秘書が悪いのなら、政治家が悪いんだ!責任をとってすぐ辞任したまえ!」
ミンス君:「やーボクは知らなかったよ~そのコトにつきましては、違法性はなかったと信じてるもんね」
ジコー君:「そんなコトじゃ誰も信じないぞ、きちんと説明しろ!」
ミンス君:「きちんと説明してるよ」
ジコー君:「いやしてない!」
ミンス君:「してるってばさ」
ジコー君:「してないよ」
ミンス君「してるったら、してるだろ」
キョーサントー君:「ミンス君の金権体質だ!国民に説明して、辞任すべきだ!」
ジコー君・ミンス君:「君、ちょっと空気読んで」
メディア:「セツメーセキニン!セツメーセキニン!」(大合唱しながら)
ジコー君:「そう云やミンス君、君こないだ秘書の罪は政治家の罪だって云ってなかった?」
ミンス君:「ソレはソレ、コレはコレだよ」
ジコー君:「すぐに辞任して総選挙して、国民に信を問うべきだよ」
ミンス君:「ソレ、こないだまでボクらが云ってたコトだよ。それまでいつまでも解散しなかったのは君の方じゃないか」
ジコー君:「ソレはソレ、コレはコレだよ。ミンス君の予算はデタラメじゃないか」
ミンス君:「しょうがないだろ。君が今までムダづかいしてきたから、お金なくなっちゃったんだ」
ジコー君:「ひどいいいがかりだ。それにマニュフェストもウソばっかりだ」
ミンス君:「マニュフェスト、半分しかできてないのに、がんばったって云ったのはジコー君だろ?」
ジコー君:「ソレはソレ、コレはコレだよ。与党になった途端、コロッと意見を変えて、なんてズルイんだ」
ミンス君:「何だよ、今まであんなに汚職の疑惑があったくせに、急に清廉潔白にでもなったつもりかい?」
ジコー君:「君に云われたかないよ」
ミンスー君:「ソレだけは同意見だ」
どっちもどっちだっつーの。
……政治の世界の茶番劇は、そんじゃそこらのお笑いなんぞ脚元にもおよばないわな。
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【メディア用語】
「説明責任」
犯罪してよーが、してまいが、「自分がやりました」と告白するコト。
経過や詳細を説明したり、身の潔白をうったえるコトはコレに含まれず、罪をみとめない限りコレをはたしているとはみとめられない。
すでにクロと既定しているためにおきる現象。
外国人参政権法案に反対
現与党である民主党に対して、納得できないトコロはイロイロとあります。
しかし国民ムシの前政権にくらべたら、まぁかなりマシなんじゃないかと、割り切って考えちゃあ、おります。
ですが、民主党が今国会に提出する予定の外国人参政権法案には、全面的に反対です。
コレはクニの行く末はボクら国民が決定するっていう決まりごとに、大きく反すると思うからです。
確かに、日本に永住しておきながら、参政権がないっていうのはつらいコトかもしれません。
ですが、モノゴトはどこかで線引きしなきゃいけません。
その線引きとは、政治に参加するにはそのクニの国民であって、そのクニに対して責任を持つってコトだと思います。
感情的な抵抗もあるでしょうし、実際むずかしいトコロもあるでしょう。
日本に住んで、自分たちの生活を変えたい、護りたいのなら、それなりの覚悟が必要なのです。
参政権を与えられる側だって、た~だ権利だけ与えられてお客様あつかいされてたって、結局偏見ややっかみで見られて、何にもならないと思いますけどね。
ボクなんかは生まれながらにしてこのクニの住人であるし、当たり前のように持っているものです。
恵まれてるってカンジる時もあります。
ですが、それゆえに付随する責任や義務ははたさなけりゃなりません。
その責任とかってさ、どんなに否定しようと仕方なく自分の中にあるワケだし、逃げられないのよ。
逃げられないからこそ、まぁしゃあないな、選挙でも行こうかってコトになるワケですよ。
拘束されてるから、その価値がわかるし、大事にすべきだと思う。
自分たちの将来のために、こんなつまらんハナシをブログでしこしこ書いてたりもするワケ。
これからの日本は、ただ昔っからの日本人だけでせこく小さく肩寄せ合ってたってダメ。
異質なモノと交わっていき、変革していく必要にせまられる。
海外からヒトがやってきて住みつくようになるし、市場や雇用の場も開放されていくでしょう。
コレは日本だけでなく、多分世界規模でそう。
でもグロォバル化と、クニを運営するモノを限定するコトは、決して矛盾しないと思います。
多少条件がきつくっても、日本に住みたい、日本の一員となってこのクニでがんばっていきたい、そう国外のヒトたちに思わせるようなクニづくりを目指すべきじゃないかなぁ?
ただ一言云っとくと、国益がどーちゃらとか、保守がこーちゃらとか、外国人に参政権を与えるのはよろしくないとか、そーゆーケチくさい理由ではないつもりですし、ましてや特定の国家をおとしめるコトにエネルギの大半をつぎこんでいる連中の理屈とは、まったく別のつもりです。
あーゆーのは、似たような連中だけで集まって「オレらスゲーよね、他のヤツらバカ」って気色悪く自己満足してるだけ。
結果、クニを腐らす。
まぁ責任だの何だの、使いなれない無粋な言葉でスンマセン。
天皇陛下はまぎれもなく政治の道具です
天皇陛下が中国の副主席に謁見したコトが、ネット内でずいぶんと話題になっているようです。
天皇制についてはガラではありませんが、ひとことふたこと。
何でも、謁見するには1ヵ月以上前から申しこまないといけないとかで、今回は特例だそうです。
その特例の出所がどこかとか、イロイロ云われていますが……
天皇陛下に向かって礼をしなかったのが赦せない、態度がデカイなど、かなり物議をかもしているようです。
まぁこの件についちゃあ、どこも釈然としないコトでしょう。
現実として今、日本の経済は中国に頼るトコロが大きい。
コレはまぎれもない事実であって、これからしばらくは世界情勢は中国をひとつの軸として動いていくコトは間違いないでしょう。
その状況の中で、中国の次期国家主席であるとウワサされる人物とつながりを持つのは、実に当たり前のコトであって、何ら批判されるいわれはない。
将来をみすえて種をまかねばならないし、今回の謁見は日本が中国に対して関係を密にしていこうとのメッセェジ発信の場でもあったはずです。
外交とは、個人の付き合いとは違います。
最終的に自国の利益を最優先です。
そのためには、キライな相手とも笑いながらハグしなきゃならないし、はらわたの煮えくりかえるような相手にもヘイコラしなきゃならない。
確かに中国というクニは、非常に信頼をおけない部分がある。
ですが、気に入らないから付き合うな!なんてその程度のコドモっぽい理屈は通用しないのです。
さて、この騒動ですが、コレは中国側にも大きな責任があります。
政府の高官が謁見を求めるのですから、当然緻密な調整が必要でしょうし、慣例にせよ1ヵ月以上前から……なんてルゥルがあるのなら、相手国側に配慮しなければならない。
さらに日本人側から見れば“特別に謁見させてやった”のだから、そのコトに配慮して、謙虚な気持ちで謁見にはあたるべきです。
少なくとも相手国側に敬意を示した対応は必要でしょう。
また日本の政府も非常に悪い。
規則ではなくてもある程度の慣例があるなら、きちんと線引きをすべきであるし、それに則した外交交渉をしなければいけない。
また天皇陛下に謁見する場で、礼をしなけりゃいけないと決まっているのなら、きちんと教えてやらねぇと。
誰だって自分の国の流儀でやるに決まってるだろ。
(ちなみにこれまでの政権では、すべて礼をさせていたのだろうか?)
特に今回の特例は、オザワ幹事長が自分の権力を誇示するためだとか見る向きもあります。
記者会見も、あーゆー態度では誰も共感はしてくれないでしょうね。
日本人にとって“天皇”はただの象徴にすぎませんが、このようなコトがあれば、やはりどこかに尊崇する念があったコトを自覚させられるものです。
そのあたりをわきまえず、まるでただの役所に調整を求めるような威圧的な態度では反感をかうでしょう。
何だかんだ云って、日本人は天皇陛下、好きなんだよ。
しかしまぁ、態度がデカイとかいうレベルのハナシは、悪意をもって見れば、いくらでもねじくれて見えてしまうモノですから。
やほーではずいぶんとヒドイ態度だったようにコメントされていましたので、映像を見てみましたが……う~ん……確かに礼などはしていなかったようですが、ことさら傲慢だったかどうかって云うと、そこまで神経質になるレベルか……?
政府の高官などは、ネットでしか喚けない連中が想像もつかないほどしたたかでアタマよいのですよ。
(国内向けとはいえ、感情的になってみっともない態度とるのはオザワとかアソータローとか、そんな人たち)
しかしこれまですべての賓客がはたして礼をしていただろうかと思うのですが、どうも記憶がない。
実際のトコロ、どうなんだろう。
すべての賓客が、彼らが要求するような日本的な礼を守っていたのだろうか……?
いわゆる保守・愛国を自認されてる方々の記事をずいぶん読みましたが、やはりソコまでは云っていない。
やはりあのコメント欄で情報操作しようって連中がいるんだろうなぁ……
しかし何つーか、一番ビックリしたのがさ、天皇陛下を政治利用すんなとか、そんなハナシ。
今回はずぶん同情されてる宮内庁ですが、仕える立場にあぐらをかいてるってのも、事実ではあるでしょう(イシハラシンタローが宮内庁を批判してるのには、ちょっと驚いた。乗り換えるつもりかな?)。
まぁ結局は、電脳世界の中だけで通用するアッチ方面の方々に云わせると、売国政権とやらが、中国にクニを売り渡す算段をしているその一環!と主張したいだけのコトですが……君ら今日も元気だねってカンジ(そのムダな元気、発電に使えりゃよいのにね)。
ソレがわざわざ会見までして政府の非難をして、コレに某前与党の機関紙が便乗してさ、これ幸いと自分らのキライな政党叩きの材料にして、どっちが政治利用してんのさ。
太古より、天皇はまぎれもなく政治に関わりがあり、それは現在もまったく変わらない。
日本人なのに、そんな当たり前の歴史も知らないのか?
現代だって、国外の賓客は日本の天皇陛下とであったっていうのは、すんごいステイタスなワケだわ(だと思う)。
であえるだけで、自分は日本で大事なお客として扱われたんだなぁって思うよ、きっと。
天皇陛下との謁見だって、そんな外交の場なんだ。
ちょっと失礼な云いかたをすりゃ、日本にとって天皇陛下ってな、最高の外交札なんですよ。
それをいけしゃーしゃーと政治利用すんな?
カマトトもいいかげんにしてくれよな。
ピーター・ラヴゼイ著 『絞首台までご一緒に』
19世紀。
夜のテムズ河で、内緒の川遊びをしていた女学生ハリエットは、犬をつれてボォトに乗った3人組のオトコを目撃します。
翌日、河に水死体があがり、ハリエットの目撃したオトコたちに疑いがかかります。
警察から協力を依頼されたハリエットは、クリッブ部長刑事や巡査のハーディーたちと彼らを追跡しますが、その行動は話題の小説『ボートの3人男』をなぞらえたモノだと気がつきます。
* * *
ちょっと性格が悪いクリッブ刑事部長モノです。
何かその割りにラヴゼイの登場人物としては印象が薄いんですけど、このオッサン。
有能なのかもしれないけど、その性格の悪さが災いして、どうも部下からは好かれません。
今回も部下のサッカレイは所属の違うハーディー相手に、上司の愚痴をこぼしたりなんかします。
この作品では、やはりハリエットの存在がずばぬけてよい。
元々、オッサンばかりの内容で、華やぎがないのだけど、アタマの回転が速く、でもってコドモっぽい見栄を持ってるために、実にその、目立っているワケ。
意外にラヴゼイの作品で普通のオンナノコっての、珍しいんじゃないかと思いマス。
ジェローム・K・ジェロームの『ボートの3人男』を下地にしてますが、もうちょっとうまい使い方がなかったろうかなぁって思います。
切り裂きジャックネタまで出てきてますし。
まぁ何にしろ、警察ものどかだった時代のミステリでございます。
* * *
評価:★★★☆☆
最初に読んだ『偽のデュー警部』あたりにくらべたら、イマイチだなぁ……
ダイヤモンド警部のシリィズはどうもおもしろく感じないし。
ハリエットとハーディのちょっと甘ったるい関係、ちょっとムリヤリ感が強すぎて、ミエミエな展開。
ラヴゼイだから、どんでん返しがあるだろうって思ってましたが……
クレイグ・ライス著 『マローン御難』
弁護士マローンが自分の事務所ででくわしたのは、依頼人の死体だった。
おまけに、誘拐されたはずのそのオトコの娘まで抱えこんでしまうハメに。
このままでは殺人と誘拐、二重の罪をかぶってしまうマローンは、偽の犯人をしたてあげ、その間に真犯人をとっ捕まえようとしますが、ジェークとエレンの夫婦まで介入してしまい、事態はしっちゃかめっちゃかに……
マローン最大の危機。
* * *
自分の猶予は24時間しかないのに、美女を見れば相変わらずフラフラと下心を出してしまうマローン。
そらもう、この事件解決できなかったら、よそのクニに逃げ出そうとまで考えてるくせに、朝メシやネクタイの心配するは、であった美女をどこの見せにつれていこうか、どんなプレゼントがよいかとか、そーゆーコトに悩むは、もうちょっと真剣に考えろやってカンジ。
ジェークとエレンの夫婦は、例によって大騒ぎしてハナシを引っかきまわすだけ引っかきまわす。
マローンたちと腐れ縁の刑事も、都合よく利用されてハナシを混乱させるのに一役かう。
おまけに今回は誘拐されたはずの娘も、とんでもなくしつけのなっていない野良猫みたいなもので、まぁ結局この娘がオトナには関係なく、自分で勝手にハナシを完結させてしまう。
大体、彼女の作品は、そもそも登場人物自身が問題を解決しようとしてるのか、混乱させようとしてるのか、よーわからん。
本格物とは一線を画し、いわゆるユゥモアミステリですが、中身のびっちりつまった濃厚さと、爽快な読みごたえですな。
「ビターなミントチョコレートの香り お子様にはわかるまい、この読後感」
と、帯には若竹七海の推奨文がありますが、うん、まさしくオトナのミステリ。
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評価:★★★★★
名人クレイグ・ライスの改訳。
彼女のミステリは一気に読んでしまいたいけど、もったいなくて読んでない作品がいつまでもあってもらいたい、そんなミステリ。
50歳にもならず死んだのが惜しまれる人物です。
米澤穂信著 『愚者のエンドロール』
学祭を直前にひかえた折木奉太郎たちの通う高校。
ムダなコトをせずに生きていきたいと願うホータローですが、彼をはじめとする面々にとある依頼がきます。
それは製作されたミステリの自主映画(?)の脚本の突然の降板で、ついに描かれなかった解答を考えてくれ――というものです。
答えはムリだが、他の解答者の答えが妥当かどうか判断するぐらいなら……と引き受けたホータローですが……
* * *
やはり、主人公たちは高校生くさくない。
ホータローやえる、里志や伊原たち古典部の面々。
彼らだけではない。
今回解答者である3名や、ホータローたちに依頼してきた「女帝」とあだ名される上級生も、どいつもこいつも、やたらキャラ立てされすぎ。
何もそこまでせんでもってカンジ。
それに前作にくらべたら、メムバの個性がイマイチ薄い。
第三者に徹せざるをえなかったからだろう。
前作は作者のデビュ作だったせいで、ぎこちなさが目立ちましたが、本作はかなりこなれてきたカンジ。
通常の謎解きではなく、他人の答えが正解かどうか判定してくれとの依頼も、なかなか斬新。
しかも手がかりは、高校生が作った自主映画と、関係者の証言、そしていくつかの関係品だけ。
映像の中では死人が出ているが、ホントは誰も死んですらいないのだ。
いくつかどうしようもない矛盾もあるけど。
このあたり作者の発想力の素晴らしさが垣間見える。
* * *
評価:★★★☆☆
ハナシのはじめで、大体の予想はつく。
う~ん、この作者はイマイチしっくりこない部分があるなぁ……キライじゃないんだけどねぇ……
ちなみにやっぱり、古典部って何する部かわかんなかった。
ソレが一番おもしろかった。
米澤穂信著 『氷菓』
なりゆきで「古典部」などという、マイナな部に入部してしまった折木奉太郎(何をする部?)。
省エネをモットォとし、必要でなければ極力何もしないコトを旨としていたはずの彼であったが、ともに入部した千反田えるや友人の里志により、奇妙な謎を解決するはめになってしまいます。
そしてその挙句、えるからは自分の伯父に関する謎の解決も、お願いされるコトとなるのですが……
* * *
え~と……最近、こんな人物設定がはやっているのかなぁって思うのですが、とにかく雨後のタケノコのごとくに乱立するミステリ界において、台頭していくにはやはりある程度の印象を持った探偵役が必要なのだろうってコトぐらいはわかりますが……
ですが……
このホータロー君には、まったくなじめそうにない。
別に怠け者ではないのですが、行動の端々に言い訳やら損益やらエネルギの費用対効果を、いちいち一人称で語られた日にゃあ、うっとうしくってたまらん。
彼だけじゃなくって、周囲の仲間たちも何となく似た雰囲気。
省エネとかは云ってないが、言葉の端々に構えてる様子がある。
自分のキャラクタを、気負って演じようってカンジ。
この作者は別の作品でも高校生の探偵役を創出しているけど、コチラもこんな高校生いるかいなってカンジ。
小説の設定だからさ、とやかく云う筋合いじゃないけどさ、表だけならともかく中身までこんなヤツはいないよ。
実生活では確かにいないコトもないけど、特に高校生なんて自分のキャラ立てに必死こいてるもんだから、案外ソレっぽいヤツもいるが、裏ではもっとがつがつしてるもんさ。
特に男子なんざ。
アタマの中はメシとエロが99%をしめてるもんだ。
でもって、表じゃあオンナなんて……って顔してんのさ、むっつりどもめ。
ホータロー君だって、眼の前にはかなり見目麗しい同級生が2人もいるのだから、もうちょっとね何かこう、夏服は生地が薄くってよいなぁとか、部室でいっしょで落ち着かないなぁとか……
そーゆー男子コーコーセー的な内情が吐露されてもよろしいのではないかと考える次第なのである(何あおってんだ)。
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評価:★★★☆☆
血も流れないし、キレイでスッキリしたハナシだけど、何か物足りない。
やはり、がつがつしてない男子コーコーセーは……(以下略)
……しかしやはり古典部って、何する部なのかイマイチわからんかった。