伊坂幸太郎著 『アヒルと鴨のコインロッカー』
引っ越したアパァトの隣人河崎から「本屋を襲おう」と持ちかけられた椎名。
ところが標的はたった1冊の広辞苑。
ワケもわからずにまきこまれた椎名だったが……
* * *
伊坂幸太郎の代表作です。
以前『オーデュボンの祈り』を読んだ時は、しっくりこなかったんですが、コレはよいですね。
伊坂作品には突拍子もないセリフとセンスで相手を翻弄する、ま云ってみれば非常識人がやたら物語をひっぱっていくような部分がありますが、ボクは結構コレ何だかなぁって思う。
物語とうまいコトはまればよいのですが、大抵の小説では設定のための設定で、ピントのずれただけってコトが多いんじゃないかな。
あ、伊坂作品だけにかぎらずにね。
要するにヤリすぎ。
でもこの作品については、うまくはまっている。
うん、伊坂幸太郎、ウマイね。
物語は椎名君と河崎の本屋襲撃と、2年前のとある事件が交差します。
登場人物は河崎とブータン人のドルジ、そして琴美。
ふたつの時間をつなぐのは、琴美が勤めるペットショップの店長麗子さん。
人のよい椎名君は、ドキドキしながら河崎の片棒をかつぎ、琴美は怯えながらもドルジとともに犯罪を向き合います。
やがてふたつの時間は互いに近づき、ひとつの完結をみます。
最期は悲劇?
でも涼しげ。
裁かれたのだろうか?
* * *
評価:★★★★★
よい作品。
レッサーパンダを盗むコトはステキなコトだ、きっと。
アヒルも鴨も出てはこないけどね。