高速道路料金の上限制度は、きわめて常識的な考え方だ | 逍遥録 -衒学城奇譚-

高速道路料金の上限制度は、きわめて常識的な考え方だ

このハナシをする前に、高速道路無料化を支持しないヒトの方が多いって世論調査があるコトを、まず云っておきたい。

つまり国民の多くが、無料化はすべきではないって思ってるってコトだ。

それを踏まえて高速道路新料金制度のハナシをしましょう。


最近のメディアはこの制度を取りあげて、さかんに実質値上げ――と云うが、なぜそんなハナシになるのだろうか?

なにやら近距離しか使わない場合、損だと云うのだが、まったくアホウとしか思えない。

普通乗用車の場合、70㎞以下では通常の料金をはらい、ソレを超えたら一律普通乗用車で2000円(もちろん、軽や大型などの車種によって、段階的に料金は異なるが)ってハナシで、これを“不公平”って云ってる理屈がおかしい。

ある程度まではコレまでどおり、超えたら一律ってコトが、なぜ値上げなのだ?

まったく理解できない。

値上がりなんて云ってる人間は、自分のアタマでモノを考えているのか?


大体、高速道路の利用距離は、家計にかかってくる税金じゃないのだ。

利用距離の平均を出して(普通車で50㎞ぐらいだったか?)、平均が一律になる距離より低いから損だ――なんてメディアが批判している理屈は、まるで意味がわからないぞ。

近場を利用するコトもあれば、遠くへ行くコトもある。

近場なら通常の料金だが、遠くへ行けば割安なのだ。

別に近場だと値上がりするワケじゃないだろ?

70㎞なんて、隣の県へ行けば、すぐそれぐらいになる。

レジャでも仕事でも、みんなそれぐらい普通に使うさ。

その時は、ずっと割安じゃないか。

要するに、普通に払う時もあれば、一律料金を払う時もあるってコト、ただそれだけだ。


しかもコレは休日だけでなく、毎日だ。

現代は平日のみしか休めない職種も多いし、時間にも制約がある。

そのヒトたちはこれまでの制度の恩恵は受けていない。

それこそ不公平ではないのか?

毎日がそのような料金体系ならば、ずっと高速も利用しやすくなる。

利用量もそれほど変化はないのではないかな?


不公平と騒ぐのなら、コレまでのETC搭載車のみが休日1000円なんて方が、よほど不公平だよ。

値下げするなら、すべての車種にしなければ、おかしい。

時間によってETC搭載車のみ割引とか、まったくヒトをバカにしたハナシだ。

「わ~い1000円、安い安い」ってバカみたいに喜んでおいて、その不公平には気がつかない。

また現行の値下げ制度は、休日に集中するので、観光地では地元の人間が車を出すコトもできないほどに大渋滞を引き起こすコトがあるらしい。

都市圏近郊の有名観光地は、大賛成だと云っていた映像を観たぞ。

前政権が選挙対策で打ち出しただけの、あさはかで不平等な政策なのだ。

しかもこのETC普及の国家戦略は、官僚の利権がらみと見ることができる。

天下りがどーちゃらしたり顔で批判しておいて、それでよいのか、批判者?

無論、不公平に感じる場合もあるかもしれないし、今の休日のみ1000円って制度にくらべたら、割高に感じられるかもしれないが、そんなのは当たり前だ。

何から何まで平等にしろなんて、できるワケはない。


ボクの周囲も、みんな無料化はちょっとね……ってヒトが多い。

ちなみにみんな、子育て真っ最中の主婦である。

ネットなんか使って自分たちは知識があるって勘違いしてる連中が、テレビしか観ないとか小バカにしてるヒトたちだ。

造ったのだから、やはりある程度は利用した分とらんと、いつまでたっても借金はなくならないだろうって。

今の料金は高すぎるけど、半分か三分の一になればよいのに……と云っていた。

だから、今回の制度はなかなか押さえるトコを押さえていると、彼女たちにもなかなか好評だ。

実にバランスのとれた感覚だ。

メディアやそれに登場する有識者の感覚が、いかに庶民とかけ離れているのか、それだけでよくわかる。


だからこの普通乗用車上限2000円というのは、きわめて常識的な金額だと思う。

正直云って、国交省の役人だか、民主の議員だかをちょいと見直したよ。

これほど現実に即した金額を持ち出してくるのは、なかなかのセンスだと思う。

2000円ってのも、まぁなんとか払える金額だし、払うコトによって収入も得られるし、払う側も建設費用分は少しづつだが払ってるって意識も生じる(何でもタダにすりゃよいとゆーものではないのだ)。


ただこの新制度で、いくつかひっかかってくる点がある。

道路建設に使われる費用が不透明ってコトと、これまでのETC割引がなくなるってコトだ。

このあたりをもっときちんとすれば、実によい制度だと思う。

また流通にたずさわる業種の車については、個人の利用とはっきり分けてもう少し緩和してよいのではないかとも思う(フェリィ業界などの他輸送機関の立場もあるのでむずかしいと思うが……)。


最近、この制度について、鳩山政権が迷走しているなどと発言しているメディアばかりだけど、揚げ足とりもよいトコロだ。

幹事長がよくないと云って、国交大臣が現行でいくって云っただけであり、そこには何も混乱も迷走もない。

党内で意見や異論があったってだけじゃないか。

今日の夜の報道を見ていて、あまりにひどすぎるメディアの悪意に満ちた世論操作には、愕然としてしまったぜ。

コレもあれか?

民主党がクロスオォナァシップ制度の見直しに言及したからか?


この制度は動きだしたら、絶対そのよさがわかってくると思う。

苦しい国家運営がつづいている民主党の施策にしては、実に常識的で現実にそった政策だと思うね。

ボクは支持するよ。